「運行管理者の資格を取っても将来役に立つの?」
「自動運転が普及したら運行管理者はいらなくなる?」
これから運行管理者の資格取得を考えている人の中には、このような疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、運行管理者は今後も必要とされる可能性が高い資格だと考えられます。
バス・タクシー・トラックなどの自動車運送事業では、安全な運行を確保するために運行管理が欠かせません。
一方で、IT化や自動運転技術の発展によって、運行管理者の「働き方」や「求められる能力」は変わっていく可能性はあります。
この記事では、運行管理者の将来性や今後も必要とされる理由、自動運転による影響などについて解説します。
そもそも運行管理者とは?
運行管理者とは、バス・タクシー・トラックなどの事業用自動車の安全な運行を管理するための国家資格です。
主な業務には、
- 運転者の乗務割の作成
- 乗務記録の管理
- 運転者への指導・監督
- 点呼
- 運転者の健康状態や疲労状態の確認
- 安全運行のための指示
- 休憩・睡眠施設の管理
などがあります。
単純に「車が予定通り走っているか」を確認するだけではありません。
運転者が安全に乗務できる状態なのかを確認し、事故を防ぐために必要な判断や指示を行うことが重要な役割です。
経験上、乗務する運転士と直接コミュニケーションを取るという観点から見たら完全に運行管理者をなくすということは難しいと考えています。
結論|運行管理者は今後も必要とされる可能性が高い
運行管理者の将来性を考えるうえで最も大きなポイントが、自動車運送事業において制度上必要とされている資格であることです。
現在、自動車運送事業者は、一定の条件に応じて営業所ごとに運行管理者を選任する必要があります。
たとえば乗合バスでは、営業所の保有車両39両まで1人、以降40両ごとに1人を追加するという配置基準があります。
つまり、運送事業を安全に運営するための仕組みの中に「運行管理者」という役割そのものが組み込まれているのです。
もちろん将来的に制度が変更される可能性はあります。
しかし、バスやトラックなどの事業用自動車が存在する限り、運行の安全を管理する役割そのものがなくなる可能性は低いと考えられます。
運行管理者に将来性があると考えられる5つの理由
1.運送事業者にとって必要な資格だから
運行管理者の大きな強みは、単なる民間資格ではないことです。
自動車運送事業者は、運行管理者資格者証の交付を受けている人の中から運行管理者を選任する必要があります。
さらに、複数の運行管理者を選任する営業所では、その中から統括運行管理者を選任する仕組みもあります。
そのため、バス・タクシー・トラック会社などでは、運行管理者資格を持っている人材には一定の需要があると考えられます。
2.安全管理の重要性は今後も変わらないから
交通事業において最も重要なのは安全です。
どれだけ便利なサービスを提供していても、重大事故が発生すれば、お客様だけでなく会社にも大きな影響を与えます。
運行管理者は、点呼や運転者への指導などを通じて事故を未然に防ぐ役割を担っています。
車両やシステムが進化しても、「安全に運行できる状態を作る」という仕事自体は必要です。
そのため、安全管理に関する知識を持った人材の重要性は今後も高いと考えられます。
事故が発生したときに、運転士に指導教育を実施するにしても、形だけの指導ならAIでもできると思いますが、その事故惹起者への伝え方・言い回しはそれぞれ人によって違うと思いますし、繊細な部分を全て機械任せには関内と思います。(できれば超楽なんですけどね。)
3.バス・トラック・タクシーなど幅広い業界で必要とされるから
運行管理者は大きく「旅客」と「貨物」に分かれています。
旅客の資格であれば、バスやタクシーなど旅客運送に関係する仕事で知識を活かせます。
貨物であれば、トラック運送など物流業界で活用できます。
特定の会社でしか使えない社内資格とは違い、運送業界全体に関係する資格であることはメリットです。
特に今後転職する可能性がある人にとっては、運送業界に関する知識を持っていることを示す材料の一つになるでしょう。
4.ドライバー不足でも運行管理は必要だから
バスやトラック業界では、ドライバー不足が大きな課題となっています。
一見すると、
「運転者が減るなら運行管理者も必要なくなるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、運行する車両や運転者がいる以上、その安全を管理する業務は必要です。
さらに人員に余裕がない状況では、勤務状況や休息時間などを適切に管理することの重要性も高まります。
運行管理者は単純にドライバーの人数を管理する仕事ではありません。
限られた人員の中でも安全な運行を維持するために、運行全体を管理する役割があります。
5.運行管理の知識は管理職になっても役立つから
運行管理者資格のメリットは、「運行管理者として選任されるため」だけではありません。
試験勉強では、
- 道路運送法・貨物自動車運送事業法などの関係法令
- 労働基準法
- 運転者の労務管理
- 安全運行
- 事故防止
- 運転者への指導
などについて学びます。
そのため、将来的に営業所の責任者や管理職などを目指す場合にも、運行管理の知識が役立つ場面があります。
特に運送会社で長く働こうと考えている人にとって、取得しておいて損の少ない資格といえるでしょう。
自動運転が普及したら運行管理者はいらなくなる?
運行管理者の将来性について考えるとき、気になるのが自動運転です。
今後、自動運転バスや自動運転トラックが普及すれば、運転者の役割が大きく変わる可能性があります。
では、運行管理者も不要になるのでしょうか。
現時点では、自動運転が普及したからといって、すぐに運行管理そのものが不要になるとは考えにくいでしょう。
自動運転になったとしても、
「車両が正常に運行しているか」
「事故やトラブルが発生したときにどう対応するか」
「運行を継続するか、中止するか」
「利用者の安全をどう確保するか」
など、管理・判断しなければならないことは残ります。
むしろ将来的には、人を中心に管理する従来型の運行管理から、車両・システム・運行状況などを総合的に管理する仕事へ変化していく可能性があります。
重要なのは、
「自動運転が普及する=運行管理者が不要になる」
と単純に考えないことです。
制度については今後の自動運転技術の普及状況などによって変更される可能性があるため、国土交通省などの最新情報を確認していく必要があります。
リアルな話、地方部のBRTのようなものを除いて、市街地での自動運転はまだまだ普及しないと思っています。別の記事ででも書こうと思っていますが、仮に普及したとしても運行管理者そのものも、すぐになくなることは無いと思います。だって、バスが動き続ければそれを管理する人がいないといけませんから。
AIやITによって運行管理者の仕事は減る?
運行管理の仕事については、自動運転だけでなくAIやITの影響も考える必要があります。
今後は、
- 勤務表の作成
- 運行状況の確認
- 各種記録
- 点呼の一部
- データ管理
など、これまで人が行ってきた業務の効率化がさらに進んでいくでしょう。
しかし、これは必ずしも「運行管理者が不要になる」という意味ではありません。
むしろ、単純作業をシステムに任せられるようになれば、運行管理者は安全管理や判断、運転者への指導など、より重要な業務に集中できるようになる可能性があります。
これからの運行管理者には、資格を持っているだけでなく、新しいシステムを使いこなす能力も求められるかもしれません。
AIが普及したからすぐになくなることは無いと思います。ただ、AIが普及することにより業務が効率化され、負担が少なくなるということは大いに考えられます。これは嬉しいところです。
運行管理者資格を取れば転職に有利になる?
運行管理者資格を持っているからといって、必ず転職できるわけではありません。
しかし、バス・タクシー・トラックなどの運送業界への転職では、プラスに評価される可能性があります。
特に、
- 運送会社の営業所
- 運行管理業務
- 配車業務
- 運送会社の事務職
- 将来の管理職候補
などでは、運行管理に関する知識を持っていることが役立つでしょう。
また、未経験で運送業界へ転職する場合でも、資格取得を通じて業界について勉強していることをアピールできます。
ただし、実際の運行管理では資格だけでは分からないことも多くあります。
資格+実務経験を積むことで、より価値のある人材になっていくと考えたほうがよいでしょう。
資格を取得しているのもアドバンテージではありますが、ここに実務経験が加わることにより、一層貴重な存在になると思います。
これから運行管理者を目指すなら資格以外にも身につけたいこと
これから運行管理者を目指すのであれば、資格取得だけをゴールにしないことも大切です。
たとえば、
コミュニケーション能力
運行管理者は運転者と接する機会が多いため、人とのコミュニケーションが重要です。
一方的に指示を出すのではなく、相手の状況を確認しながら必要な情報を伝える能力が求められます。
パソコン・ITスキル
運行管理業務でもシステムを利用する機会は増えています。
基本的なパソコン操作やExcelなどを扱えると、日々の業務でも役立つでしょう。
判断力
運行中には予定通りにいかないことがあります。
渋滞、事故、悪天候、車両故障など、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
そのような状況で何を優先するのか考える力は、実務を経験する中で非常に重要になります。
法令を学び続ける姿勢
資格を取得したら勉強が終わるわけではありません。
運送業界に関係する制度やルールは変更されることがあります。
資格取得後も最新情報を確認する習慣をつけておくことが大切です。
意外とこれが一番大切です。どうしてもダメだ・・・って思っていることでも、意外と抜け道があったりします。
運行管理者資格がおすすめな人
運行管理者資格は、特に次のような人におすすめです。
- バス会社で働いている・働きたい人
- トラック運送会社で働いている・働きたい人
- タクシー業界に興味がある人
- 運送会社の事務職を目指している人
- 将来的に営業所の管理職を目指したい人
- 運送業界で長く働きたい人
- 安全管理や労務管理に興味がある人
逆に、運送業界とはまったく関係のない業界で働く予定であれば、資格を活用する場面は限られるでしょう。
資格は「とりあえず取る」のではなく、今後の仕事で使う可能性があるかを考えて取得することをおすすめします。
まとめ|運行管理者は今後も必要とされる可能性が高い資格
運行管理者は、バス・タクシー・トラックなどの安全な運行を支える重要な資格です。
現在の制度では、自動車運送事業者は一定の基準に応じて運行管理者を選任する必要があります。
そのため、運送業界で働くのであれば、今後も活用できる可能性が高い資格といえるでしょう。
一方で、運行管理の仕事そのものは変わっていく可能性があります。
AIやIT、自動運転技術が発展すれば、これまで人が行っていた作業の一部は自動化されていくでしょう。
しかし、「安全な運行を管理する」という役割そのものが簡単になくなるとは考えにくいです。
これから重要になるのは、
「運行管理者資格を持っている人」から、「資格に加えて実務経験やITスキル、判断力を持っている人」になること。
運送業界で長く働こうと考えている人にとって、運行管理者は取得を検討する価値のある資格の一つといえるでしょう。


コメント